先日、12/3 に会社の増資を行いました。現在、株式会社レップワンの資本金は2,000万円です。理由としての1番は、改正された派遣事業許可要件の中で、許可を得る1事業所あたり2,000万円の純資産が必要であるためです。当社は派遣事業を始めてから、丸5年がたとうとしていますが、5年間で純利益を2,000万円も出してはいない。事業継続のためにお役所が課した高いハードルを超えるために増資を行いました。
2009年半期で、派遣会社の倒産件数は過去最大となっています。派遣というビジネスモデルは、専門性の低いマージンビジネスであり、大きな投資がいるわけでもない。ローリスク、ローリターンなビジネスモデルです。また、労務的にはハイリスクといえるでしょう。人間が商品ですから、化けもするし、腐りもする。派遣会社の100%オーナーでありながら、なんとも悲観的な考えですが、それが現実ですし、どの会社でも同じではないでしょうか。営業マンが契約を取らねば売上は上がらないし、技術者が開発をせねばモノはできない。ネガティブついでに、
を読んでいて、半分以上が雇用・労働に関する問題であることが興味深かったです。昨今話題の事業仕分けに上がったスパコンにも触れていました。まさに、ポートアイランドでたまたま撮ったスパコン施設の背景が明らかになっている。たしかに技術革新は必要だが、ムダなところへお金が流れるのはやめなさいヨ、という気になります。
助けを求める日本という難民国に、我々が善意の募金をしたとしても、中間マージン、中間マージンで、たどりついた支援すべき当事者へ渡るお金ははごくごくわずかなものだった。
というものでしょうか。科学者やアスリートが会見をして怒っていますが、金額の削減に怒るのではなく、お金が落ちる時の障害物に怒るべきでしょう。ともあれ、自国民ながら、嘆かわしいシステムです。直接、研究者やアスリートに投資する税金ファンドのようなものがあれば面白いですね。ラブホテルファンドがあるくらいなのですから。
なお著者は、p.75
==
派遣業務の規制を強化するのではなく、労働者派遣業への新規参入を促せばマージンも下がる
==
と言っていましたがそれは違う。どんな麗句で飾ろうとも、労働者派遣業の商品は生身の人間である労働者です。どこぞの人間かわからない人間を派遣する派遣元に、コストメリットだけで顧客が口座を開く必要があるわけがない。今の派遣法で問題なのが、
指揮命令下だから派遣
特定業務だったら請負か委託
というあいまいな区別である。私が思うに、派遣社員、契約社員やら、偽装請負など、雇用契約形態と業務形態を混同した言葉に対するイメージが悪すぎる。平たく言えば、
会社の正社員として採用した者の労働コスト、時間コストでは割に合わない部分の仕事、価値の部分を専門的かつ継続的にこなす集団
と割り切ればよい。国が必要なことは、正規労働者、契約労働者などという区分けではなく、分野や範囲など職務による区分けである。いわゆる、同一業務、同一賃金というものだ。これは本書でも触れていたが、「年収400万円で十分に豊かな暮らしができる仕組み」「ポータブル年金、退職金システム」などの整備は必要である。
言いたいことは、職務と人間の固定化を進めるものではない。正社員、契約社員というアングルで変に平等意識をあおるより、価値に対する対価をあっさり認めてしまったほうがよいのではないか、ということである。飛行機の座席は見事に分かれているではないか。「縁なき衆生」はやはり、ある。人間にはそれぞれ役割というものがある。
富の蓄積の連鎖によって、月に1,500万円のお小遣いをもらえる方が首相になる時代である。格差などというレベルではない。人間は平等だが、人生は平等ではない。しかし、不平等は本人の努力によってある程度は絶対に解消する。しかし、外貨にすると現在圧倒的に価値のある円を持っていても、国内ではあまりうれしくない。またこれほど高度で先進的な国なのに、国民の満足度が低い国、自殺者の多い国というのはおかしい。平穏を与えられることに慣れすぎてしまっているようだ。
ムダな組織が主導する見せかけの希望がある国と、どうでもよい悲しいニュース、右へならえとばかり放映するメディアの連鎖によって日本は鎖国状況にあることに我々はもっと気付くべきだ。インターネットにより情報は世界を巡っている。もっと世界に目を向けよう。ニッポンは世界では小さく、自分も小さく、悩みも小さいものになろう。
こちらの本も大変面白かったです。
大前の頭脳 「産業突然死」時代を生き抜く知恵
さて、今回の増資は私が行いました。既に300万円→1,000万円→1,200万円→2,000万円と増資を行っているので、経験済みです。ワードで以下5点の書類を作り、口座コピーを持っていけばよいのです。
・変更登記申請書
・臨時株主総会議事録
・資本金計上証明書
・募集株式申込書
・払い込み証明書
そして、登録免許税の7%。たとえば今回は800万円の増資ですから、公的な証明を得るのに56,000円の印紙代がかかります。こういった登録許可のハードルの高さ、事務処理の煩雑さ、税金の高さこそが日本国の生産性の低さの例でしょう。複雑にするから、それを処理するための独立行政法人ができるわけです。懇切丁寧に事務処理を教えていただけるありがたさはありますが、複雑怪奇なルールゆえに、それを深く理解することが可能で、仕事である優秀な人材は、政治家と官僚による租税システムの番人をしているようにしか思えない。
この成熟した日本国において、政権が変わったから、という理由だけではなくこの先数年で大きな変革が訪れるはずです。産業構造、徴税、租税システム、労働基準法の改正もありうるでしょう。どうしたら生き残ることができるか。他人のアイディアの半歩先では、利益の方程式はもって5年でした。根本的な革新が必要であると考えています。当社の取締役会は私1名しかいないので、政治的な判断基準はいつも「満場一致」で、
・合うか、合わないか。
・礼と信義に則るか。
・必要か不要か。
だけです。