この会社の代表者は飲み会が苦手。
せっかちだし、何事にも毒づくし、相手のプライドを折るし、結論とコミットメントを引き出そうとするし。逆効果もはなはだしい。
そこで、3年前から会社の公式飲み会は一度だけにしている。だいたい上司から誘う飲み会など、「労働」にきまっとるじゃないか。部下は、ボンクラ上司に対しては
「それは命令ですか?目的、理由はなんですか?」
と、大いに聞き返すべき。私が部下なら、そんなボスの私的な誘いには200%行かない。信頼関係は、業務時間中に築くものではないのか?そもそも上司とは、「自分の顧客 / 部下」でもあるものだ。使われるより、使おう。使い倒そう。
「飲まないと吐露できない」
という関係性だから、昼の仕事が遠回りするんだ。自分の世界が、カイシャに閉じるんだ。自発的に発生してこそ、価値ある飲み会が生まれるものだ。
料理は苦手ではない。リガトーニ+ゴルゴンゾーラ。
この会社でも、
「会社で予算とってあるから、皆で必要に応じて懇親してね。」
としている。が、この5年間、なかなか定着しない。
2010年にはグアムへ社員旅行も実施した。一度やってみたかったからだが、その段取りの悪さにいらいらし、口も、手も出す。は?寝坊?そんなん置いていったらいいやん。それも一つのイベントやんか。と、折が合わない。
「集団行動のレベル = その集団の最底辺の行動レベル、モティベーション = 集団の価値」
であることを発見した。現地集合・現地解散ならば実施の価値はある。その時の経験が、現在の当社の「トラベル休暇」予算に昇華している。
☆の会 = 合同誕生日会 。
名付けて、「☆の会」は合同誕生日会と位置付けている。一見、危ない主旨の集まりだが、こじつけだ。☆、つまりミシュランガイドの☆を取っている店に、皆で行く。
日程は、9月11日が絡む週の金曜日だ。9/11は私の亡くなった弟の誕生日。生きていれば今年31歳になっていて、今の私はないだろう。お互い、そういう運命だったということだ。
今年は北新地にある、☆の店を選んだ。選定の理由は、
「一度、行ってみたい店」。
そういえば、2009年に賢人と銀座で飲んでいた時、
「30代、40代がいないよね。街に元気がないよね。」
というコメントに、ハッとさせられた。
手羽中の花椒煮込み。
氏より育ち。育ちより稼ぎ。
私は接待や発散など、キタで飲むことが多い。確かに、人数が多く、元気なのは40代後半以上。60代も元気だ。いわゆる勝ち逃げ世代。もちろん、ハードワーキング、相当の努力をされてきた方々である。無論、世の管理職の半分は不要で、ドロップアウトされた方々が、世間のサービス業の大部分を担っていることも忘れてはならない。
高度成長経済によって、男性社会や男性資本によって運営される会社は潤った。が、女性社会の大きな底上げはなかった。潤った男性同士、会社同士と、それに乗っかる女性の、ある意味健全なお金の循環が夜の街で起こっていた。しかし今は、男女が活躍できる知識社会だ。男性が弱くなったのではなく、女性が知識・成熟社会の担い手となる部分が大きくなっただけだ。
男性社会から参画平等社会への移行時に、夜の街の需要は減って当然だ。学歴社会で勝てなかった男性が、ホストとしてルックスと体力、愛嬌で勝負するのは悪いことではない。実際、そのほうが稼げる。
「実需があるなら、それは実業だ。」
と、ゲーム会社の女社長がその著書で言っていた。さすが元コンサルタント、正当性の訴えが巧い。
※”女社長”とか書けばフェミニストが騒がしいが、male,female,男と女でしかない。情緒豊かな日本語による、言葉遊びの論争のバカバカしさたるや。
もとい、読んだ当時に
「なんという肯定だ!」
と、驚いたとともに、
「人材派遣など、虚業ではないか。」
と、日々モンモンとする自分へのなぐさめにもなった。が、その後は
「派遣、アウトソーシングによって、正しい適材適所を創り、顧客の生産性を上げる」
という本質に気づいたので、モンモンは解決している。
次の世代に伝えること。
上述のような時代背景から、飲まないだの、欲しがらないだという、今の20代、30代と旧世代では価値観が違って当たり前なのだ。上の世代が、とやかく言うことではない。時代は変わる。
原因を創ったのは、「旧世代が担った時代の取捨選択」である。特定の誰それに責任があるわけではない。店は客が創るように、時代はまさにその当時の人々が創る。
某国の議会では、「誰が発言した!」だの声紋鑑定をしているらしい。ジムのTVでワークアウトをしながら見ていたが、バカじゃないのか。人件費、コスト、資源のムダ遣い。リーダは、くだらない責任追及はほっておいて、次に何をやるかを示すべきではないのか。
話がずれた。☆の会の目的としては、慰労と、今後のきっかけづくりである。
・高度な食文化に触れて、感じる。
・マナーを知る、その場で意識し、実践する。
・相手(シェフや同僚と)会話をして知る、場を楽しむ。
である。
幸いなことに!?
昨年より所属するスタッフの数が減った。つまり、同予算での一人あたりの割り当てが増える。
「今年は、ここにいけるやないかい!」
と、IT系のもっさり男8名でカウンターを借り切ることに。
☆☆の貸切! クゥ~! 見栄っ張り男にはたまらん。
そう、この会社は大人数で何かをつくろう、しようという会社ではない。私にそんな能力はない。
小さくても、純度が高い構成を目指す。知識社会におけるアウトソーシング先として、顧客が持ちえない知恵や経験を提供することが価値だ。その高付加価値を生み出すためのきっかけづくりである。
価値あるレストランは、たいてい一人のカリスマシェフが創る。店も、雰囲気も、料理も。そして、弟子が次の世代を創っている。その受け手がまた精進するから、文化として紡がれる。先述のように、最終的には客が店を創るのだが。
このような気高いレストランを利用する原資は、彼らの実務によって上げた利益から出ているわけで、
「☆より、ワシの給料上げろ!」
という声もあるだろう。が、給料(自分のカネ)では
「 一生いかない店 」
かもしれない。だから会社が、
「みなさんが稼いだが、皆さんの手元にないカネ」
で手配をする。
「まずは、みんなで行ってみる?」
と。そして、スタッフの一人でも、
「次は俺も一人で! 大事な人と! そのために稼ぐ! だから変わる!」
となればうれしい。
「あ、この会社におったんじゃ稼げんわ!」
というきっかけも、まったく問題ない。
☆を知らずして☆は取れず。自分の人生じゃないか。カラフルに、豊かに、悔いなく進もう。